金属しおりのエッチング製作|1個から・板厚0.1mmの設計

金属しおりのエッチング製作|1個から・板厚0.1mmの設計

金属のしおりは、1個から作れます。プレスのように金型を用意する必要がなく、キャラクターの複雑な外形でも、目盛りのような細かい線でも、同じ1回の工程で仕上がるためです。

本記事では、金属しおりやオリジナルノベルティをフォトエッチング(薬品で金属を溶かして形状を作る加工法)で製作する方法を、板厚・材質の選び方から、色入れなどの仕上げ、データの準備までまとめました。実際に製作したしおりと目盛りスケールの写真とあわせて、日々ノベルティのご依頼を受けている加工現場の視点で解説します。

作りたいデザインが決まっている方は、お問い合わせフォームからデザインを添えてご相談ください。

金属しおり・ノベルティにエッチングが向く3つの理由

金属の小物を作る方法には、プレス抜き、レーザー加工、彫刻などがあります。そのなかでフォトエッチングは、少ない数量で自由な形を作る用途に向いています。

金型が不要なので1個から作れる

プレス加工では、形状ごとに抜き型を製作します。型代がかかるため、数百個以上のまとまった数量が前提になりがちです。

一方フォトエッチングは、版下データ(フォトマスク)から金属板に直接パターンを転写します。金型を作らないぶん初期費用が抑えられ、試作1個からの製作にも対応できます。デザインを変えたい場合も、版下を差し替えるだけで済みます。

外形の抜きと表面の模様を1工程で作れる

エッチングは、薬品に触れる部分だけが溶ける加工です。板を貫通させれば外形の抜きや穴になり、途中で止めれば表面のくぼみ(ハーフエッチング)になります。

つまり、しおりの外形・文字・模様・目盛りを、すべて同じ工程で同時に作れます。抜いてから彫るといった工程の積み重ねが不要なため、細かい意匠のあるノベルティほど相性がよくなります。加工の仕組みはフォトエッチングの技術紹介ページで解説しています。

バリが出ないので手に取る製品に向く

プレスや切削では、切断面にバリ(加工時に出る金属のかえり)が残ります。しおりやキーホルダーのように直接手で触れる製品では、このバリが引っかかりや紙の傷みの原因になります。

薬品で溶かすエッチングは刃物で切らないため、バリが発生しません。バリ取り工程を省けることは、小物ノベルティでは仕上がりと安全性の両面で効いてきます。

エッチングで製作した金属ノベルティの例

実際に製作した2点を例に、どのような形状・板厚が選ばれているかを紹介します。そのほかの加工事例は加工事例一覧でご覧いただけます。

犬の形をした金属しおり(板厚0.1〜0.2mm)

トイプードルの形にエッチングで抜いたステンレス製のしおり。中央の骨型の抜きにロゴが色入れされている
ステンレス0.1〜0.2mmで製作した犬型のしおり。中央の骨型の抜きとロゴの色入れも同じ版下で設計している

トイプードルの輪郭をそのまま外形にしたしおりです。材質はステンレス、板厚は0.1〜0.2mmを使っています。

毛並みのような細かい凹凸のある輪郭は、抜き型では刃物の製作自体が難しくなります。エッチングは版下データの線をそのまま溶かすため、外形が複雑になっても加工の難易度はほとんど変わりません。中央には骨の形をくり抜き、その中にロゴをハーフエッチングしています。

しおりに0.1〜0.2mmを選ぶ理由は、本のページに挟んだときの厚みと、適度なしなりの両立です。厚くすると本が傷み、薄すぎると折れ癖がつきます。

円弧状の目盛りスケール(板厚0.5mm)

円弧状に湾曲したステンレス製の目盛りスケール。1/10mm刻みの目盛りがエッチングで入っている
ステンレス0.5mmの目盛りスケール。1/10mm刻みの目盛りをハーフエッチングで表現している

こちらは1/10mm刻みの目盛りが入った、円弧状のスケールです。材質はステンレス、板厚は0.5mmを使っています。

目盛りのように細い線が等間隔で並ぶ意匠は、印刷では線がにじみ、彫刻では1本ずつ加工時間がかかります。エッチングなら、線の本数が増えても工程は1回のままです。当てる相手に沿わせるためのR形状(円弧)も、直線の定規と同じ手間で製作できます。

しおりより厚い0.5mmを選んでいるのは、測定に使う道具としてたわみを抑えるためです。同じ「板金の小物」でも、用途によって適した板厚は変わります。

キャラクターグッズは「表の線」と「裏の抜き」で設計する

アニメやキャラクターをモチーフにしたグッズのご依頼も多くいただきます。この場合、版下データは表と裏で役割を分けて作ります。

表面にはキャラクターの線と貫通させたい線や点を配置し、裏面には貫通させたい箇所を線や点で指定する——という組み立てです。エッチングは板の両面から同時に溶かす加工のため、表裏のデータを別々に持たせることで、模様と抜きを1枚の板の中で作り分けられます。

この「表裏でデータが分かれる」考え方は、平面の意匠図しか用意していないお客様には意外に感じられる部分です。デザイン段階からご相談いただければ、どこを抜いてどこを線として残すか、加工側の目線で整理してお伝えします。

板厚と材質の選び方

ノベルティのご相談でとくに多いのが、材質・板厚・硬さについての質問です。使う場面が決まれば、板厚はおおよそ絞り込めます。

板厚 向いている製品 特徴
0.1〜0.2mm しおり、カード型ノベルティ、ピンバッジの意匠板 軽く、しなりがある。本や手帳に挟んでも厚みが気にならない
0.3〜0.5mm 定規・スケール、キーホルダー、プレート たわみが少なく、道具として使える剛性がある
0.8〜1.5mm 厚みを見せたいプレート、部品的な用途 重量感が出る。板厚が増えるほど細かい抜きは苦手になる

材質はステンレスが基本です。錆びにくく、そのままの金属色で仕上げても見栄えがするためです。銅・真鍮・りん青銅・ニッケルなども加工でき、対応材質と板厚範囲の一覧は対応スペック・素材ページに掲載しています。

硬さについては、しなりを持たせたいのか、曲がってほしくないのかで選ぶ材料が変わります。ステンレスには同じSUS304でも調質(硬さの状態)の違いがあり、しおりのようにしなってほしい製品と、スケールのように形を保ってほしい製品では選び方が逆になります。判断に迷う場合は、用途をお聞かせいただければご提案します。

色入れ・印刷・メッキなど仕上げの対応範囲

金属のままでも成立しますが、ロゴや文字に色を入れると視認性と商品らしさが上がります。仕上げの方法によって、社内で完結するものと協力会社と連携するものに分かれます。

仕上げ 対応 向いている用途
色入れ 社内対応 くぼみに色を差す。ロゴ・文字・ワンポイント
印刷(シルク印刷) 社内対応 面で色を乗せたい意匠、ネームプレート的な表示
彫刻 協力会社と連携 ナンバリングなど1点ずつ異なる場合
メッキ 協力会社と連携 金色・銀色などの色味を金属表面で出したい場合
クリア塗装 内容により対応 色入れの保護、指紋の付着を抑えたい場合

色入れとシルク印刷を自社工場で行えるため、エッチングから仕上げまでを1社で進められます。印刷を主体にした製品づくりについてはネームプレート・シルク印刷の技術紹介ページもあわせてご覧ください。

ノベルティの色数やメッキの種類は、デザインとロットによって最適な組み合わせが変わります。内容にもよりますので、仕上げの希望も含めてお問い合わせの際にお知らせください。

データの準備と依頼の流れ

入稿形式はイラストレーターかDXF・DWG

いただくデータで多いのは、Adobe Illustrator形式(.ai)です。ノベルティはデザイン起点のご依頼が多いため、機械部品のようなCADデータより、デザインソフトのデータでいただく機会が多くなります。DXF・DWGといった2次元CADの形式にも対応しています。

寸法が明記されていれば、PDFからでも検討できます。逆に、絵だけがあって寸法が入っていないデータは、そのままでは製作に進めません。エッチングでは版下を実寸で作るため、仕上がりの縦横が確定していることが出発点になります。

寸法があれば、簡単なデータは当社で作成します

「イラストはあるがCADは触れない」というご相談も少なくありません。寸法さえ決まっていれば、簡単な形状のデータ作成は当社で対応します。

一方で、寸法のないラフスケッチの段階からデザインを起こす作業はお受けしていません。キャラクターや意匠のデータは著作権が関わる領域でもあるため、デザインそのものはお客様側でご用意いただく形をとっています。図面やデータの作り方はフォトエッチング図面の書き方で詳しく解説しています。

ロットと納期の目安

フォトエッチングは1個から製作できます。初めての形状の場合、版下の作成から仕上げまでを含めて2週間程度をみていただくと安心です。時期や仕上げの内容によって前後します。

2回目以降のリピートは、版下データを保管しているため短納期で対応できます。数量ごとの納期の目安は対応スペックページのロット・納期一覧に掲載しています。

失敗しやすい設計と3つの注意点

デザインは魅力的でも、そのままでは加工できない形状というものがあります。相談の段階で調整できるポイントを3つ挙げます。

1. 細い線は板厚とセットで考える

エッチングで残せる線の幅は、板厚の100%前後が目安です。板厚0.2mmなら、線幅0.2mm前後が下限になります。髪の毛のような細い線を意匠に入れたい場合は、板厚を薄くする方向で検討します。同様に、開けられる穴は板厚の150%〜が目安です。

2. 抜き文字は文字の「中の島」に注意する

「回」「日」のように閉じた領域を持つ文字を抜き文字にすると、内側の部分が脱落します。文字のどこかを外側とつなげて残すか、抜きではなく色入れ・印刷で表現するかを、デザイン段階で決めておくとスムーズです。

3. 細長い形状は取り扱いのしやすさも考える

板厚0.1mm前後で細長い形状にすると、輸送中や取り扱い中に曲がりやすくなります。板厚を上げる、幅を持たせる、しなりを活かす形にするなど、用途に合わせた落としどころがあります。微細な形状の加工事例は、板厚0.1mmの端子部品線径0.2mmのハニカムメッシュでも紹介しています。

オリジナルノベルティの製作をご検討でしたら、デザインデータと希望数量を添えてお問い合わせフォームからご相談ください。作れる形かどうかの判断と、板厚・仕上げのご提案までまとめて回答します。

金属しおり・ノベルティ製作のよくあるご質問

Q1. 1個だけでも作ってもらえますか?

製作できます。フォトエッチングは金型を作らない加工のため、試作1個から対応しています。記念品や贈答品として1点だけ作るご依頼もお受けしています。

Q2. デザインはどのような形式で渡せばよいですか?

Illustrator形式(.ai)またはDXF・DWG形式が確実です。寸法が入っていればPDFからでも検討できます。仕上がりの縦横寸法だけは、あらかじめ決めておいてください。

Q3. ロゴに色を入れることはできますか?

色入れとシルク印刷は自社工場で行っています。エッチングでくぼみを作り、そこに色を差す方法が一般的です。色数やデザインによって工程が変わりますので、仕上がりイメージをお知らせください。

Q4. どのくらい細かいデザインまで再現できますか?

線幅は板厚の100%前後、穴は板厚の150%〜が目安です。板厚0.1mmであれば0.1mm前後の線まで表現できます。細かい意匠ほど薄い板厚が有利になるため、デザインと板厚はセットでご相談ください。

Q5. 金色や銀色に仕上げることはできますか?

メッキは協力会社と連携して対応しています。ステンレスの地色を活かす方法もありますので、ご希望の色味と数量をお聞かせいただければ、内容に応じた方法をご提案します。

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オリジナルの金属しおり・ノベルティの製作は、有限会社ソメヤにご相談ください。1個の試作から、色入れ・印刷を含めた仕上げまで対応します。
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