電子部品のフォトエッチング|リードフレーム・シールド等の加工事例

電子部品のフォトエッチング|リードフレーム・シールド等の加工事例

電子機器の小型化・高密度化が進むなか、コネクタ接点・電磁シールド・リードフレームといった内部の薄板部品には、わずかな反りやバリも許されないシビアな精度が求められます。プレスでは応力による変形が、レーザーでは熱影響が問題となるケース——そうした領域で、安定した品質を確保しやすいのがフォトエッチング加工です。

本記事では、当社で1983年から手がけてきた電子部品向けのフォトエッチング加工について、対応可能な部品カテゴリ・材質・板厚、小ロット対応の強み、そしてエッチングと二次加工を組み合わせた実例までを整理します。試作1個・個人発注・他社で断られた案件のご相談も多くいただくため、加工方法の選定材料としてご覧ください。

なお、当社では半導体素子そのものの加工は対応しておりません。半導体パッケージ周辺の薄板部品(リードフレーム等)や、電子機器内部の金属部品の加工が当社の得意領域です。

■ お急ぎの方へ
電子部品のフォトエッチング加工に関する相談・概算見積りは、お問い合わせフォームまたは下記までお気軽にどうぞ。
TEL: 04-7133-0551(平日 8:30〜17:30 / 土日・祝定休)

フォトエッチングが電子部品の薄板加工に向く理由

電子部品の薄板加工において、フォトエッチングが選ばれるのは次の特性によります。プレス・レーザーとの差が大きく出るのは「応力」「バリ」「金型の有無」の3点です。

応力ゼロでの加工

感光性樹脂と化学薬液で金属を溶かす加工方法のため、機械的な力が一切かかりません。0.01mmクラスの極薄箔でも反りや歪みが発生しにくく、コネクタ接点のばね特性や、シールドの平面度を損なわずに加工できます。

バリ・カエリが極めて少ない

エッジが化学的に整うため、追加のバリ取り工程を省略できるケースが多く、組立工程での擦り傷や接触不良リスクの低減にもつながります。電気的接点を持つ部品で特に効果が大きい特性です。

金型不要、図面1枚から加工可能

打ち抜きと違い、フィルムマスクで形状を作成するため金型費用が不要です。形状変更にもマスク差し替えで対応できるため、試作・改版が頻繁な開発初期段階にフィットします。

微細・複雑形状の同時加工

数十μmの細かな穴・スリットや、入り組んだ抜き形状も、図面1枚から同時に切り出せます。後加工で個別に加工するよりも、トータル工数を圧縮できるケースが多く見られます。

加工熱なし、磁気特性・機械特性を維持

加工熱が一切発生しないため、パーマロイのような軟磁性材や、特殊なばね性を持つ銅合金でも、もとの特性を維持したまま部品形状にできます。フォトエッチングそのものの工程詳細は、フォトエッチングの技術ページもあわせてご覧ください。

加工実績のある電子部品カテゴリ

当社で加工実績の多い電子部品カテゴリを5つに整理します。いずれも応力ゼロ・バリレス・薄板対応というフォトエッチングの特性が、品質要求とかみ合う領域です。

リードフレーム(半導体パッケージ周辺の銅薄板部品)

ICパッケージの周辺部材として、銅および銅合金薄板のリードフレームを試作・小ロットで加工しています。打ち抜きでは難しい複雑なパッドレイアウトや、開発初期段階の少量試作で活用される領域です。

シールドケース・シールドフィンガー

EMI対策に用いるシールドケース、基板取り付け用のシールドフィンガーなどの電磁シールド類は、SUS・洋白・銅合金で対応しています。ばね性のあるフィンガー形状も、応力ゼロで切り出せるため変形を抑えやすい部品です。

コネクタ・端子・接点

リン青銅・ベリリウム銅などのばね性が要求される接点部品は、フォトエッチングと相性のよい代表的な領域です。微細な接点凸部や、複数列の端子をまとめて切り出すケースに用いられています。

薄板ヒートシンク・伝熱パターン

薄板の銅プレートを使った放熱フィンや、伝熱パターンを切り出した部品の加工実績があります。微細パターンと外形を同時に加工できるため、小型機器内部での放熱対策部品で重宝されます。

メタルマスク・シャドウマスク

はんだペースト印刷用メタルマスクや、表面処理時のシャドウマスク(マスキング治具)も対応領域です。数十μmの微細開口を、アスペクト比を抑えて精度よく加工できます。

対応材質と板厚レンジ

電子部品向けに当社で対応している主な材質と板厚は次の通りです。電子部品では電気特性・磁気特性・ばね性のいずれを優先するかで、材質選定の方向が変わります。

板厚レンジ

0.01mm(10μm)〜1.0mm が標準対応範囲です。0.01mmの極薄箔は、シャドウマスクや装飾用透かし図柄、特殊用途の試作などで採用されています。下限・上限のいずれも、形状次第で対応可否が変わるため、まずはご相談ください。

主な対応材質

  • SUS(SUS304・SUS316 等) — 耐食性・剛性が必要なシールド、構造部品向け
  • 銅・銅合金 — リードフレーム、ヒートシンク、伝熱パターン
  • リン青銅 — コネクタ・端子のばね性接点
  • ベリリウム銅 — 高耐久ばね性接点(特殊用途)
  • 真鍮 — 装飾を兼ねたパネル、透かし図柄、特殊用途部品
  • 純鉄 — 磁気回路用、シールド用
  • パーマロイ — 高透磁率の磁気シールド・コア材

材質ごとに最適なエッチング条件を選定するため、特殊材の試作相談も歓迎しています。「材料商の指定があるか」「鏡面材・調質材の有無」など、材料調達もあわせてご相談いただける案件が多くあります。

1個から対応する小ロット・試作の強み

他社で断られた案件のご相談が多い

電子部品分野で当社にご相談いただくケースで多いのが、「数量が少ないため他社で断られた」というパターンです。プレス専業メーカーは型費の関係で数千個以下の案件を断ることが多く、レーザーカット業者でも極薄材は対応外となるケースがあります。

当社では試作1個・少量数十個といったロットでもお引き受けしています。単価としては量産時より上がりますが、開発初期に「とりあえず1個作って評価したい」というスピード重視の場面で、図面さえあれば即座に動ける点が強みです。

個人・研究用途の少量発注にも対応

研究用途の数個試作、個人の方からの卒業制作・趣味用途の発注など、少量・単発案件にも対応してきた実績があります。

たとえば、ある美術系大学の卒業制作で、真鍮薄板に細かな穴と図柄を抜いた作品をご依頼いただいたことがあります。光を当てると、抜いた図柄が壁面に投影されて模様が浮き出るという意匠性を狙った作品でした。

こうした「数量は1個、けれども精度・見栄えにこだわる」用途は、まさにフォトエッチングが活きる領域です。図面が完成していない段階でも、ポンチ絵・要件メモレベルでお声がけいただけます。

エッチング+二次加工をワンストップで対応した事例

電子部品の周辺領域として、エッチングだけでは完結しない、二次加工を含む案件も多く対応しています。代表例として、ある表彰用記念品の製造案件をご紹介します(依頼元・大会名は伏せます)。

加工フロー(鏡面SUS316 × エッチング × プレス × 曲げ)

  1. 材料調達 — SUS316の鏡面仕上げ材を材料商から手配
  2. フォトエッチング — 鏡面性を維持したまま、デザイン部分の図柄・抜きパターンを加工
  3. 外形プレス抜き — 専用金型で外形を打ち抜き
  4. 面ゴロシ(バリ取り) — 専用金型で打ち抜き面のバリ・カエリを除去
  5. 曲げ加工 — 曲げ型2型で目的の立体形状に成形

フォトエッチングのみでは平面の切り出しまでしかできませんが、外形プレス・面ゴロシ・曲げまで含めて社内および提携先で完結できるため、複数業者を渡り歩く必要がありません。

ワンストップで進められるメリット

  • 工程間の輸送ロス・段取り替えのロスを削減できる
  • 図面段階で「どの工程で公差を吸収するか」をまとめて設計できる
  • 業者をまたぐ責任分界点トラブルが起きない

電子部品でも、シールドケースの曲げ・絞り、コンタクトの曲げ加工など、エッチング後の二次加工を含む案件に同じ流れで対応します。当社の主な保有設備は設備情報ページに掲載しています。

フォトエッチングと他工法の使い分け

電子部品の薄板加工では、フォトエッチング以外にプレス加工・レーザー加工・ワイヤーカットが選択肢になります。それぞれの得意領域を整理すると次のようになります。

各工法の特性比較

項目 フォトエッチング プレス レーザー ワイヤーカット
応力 ゼロ あり(変形リスク) 熱影響あり ほぼなし
バリ ほぼなし あり(処理要) 微小バリ ほぼなし
得意な板厚 0.01〜1mm 0.1mm以上 0.1mm以上 1mm以上
金型 不要 必要 不要 不要
試作向き 非常に向く 不向き(型費) 向く 向く
量産単価 中〜高
複雑形状 一発抜き可 多工程 一発抜き可 一発抜き可

数量で工法を切り替える発想

開発初期はフォトエッチングで試作し、量産フェーズでプレス型に切り替える、という二段構えのご相談も多くいただきます。当社ではエッチング段階で「将来プレス化を見据えた形状にしておく」「金型起こしの段取りも提案する」など、量産移行を前提にした試作ご相談にも対応しています。

ご相談から納品までの流れ

  1. 図面・スケッチでのご相談 — 図面が完成していなくても、ポンチ絵・要件メモレベルからお問い合わせいただけます
  2. 加工可否・概算見積り — 材質・板厚・数量をヒアリングし、加工可否を判断したうえで概算をお返しします
  3. 仕様確定・試作 — 量産前提の場合は、試作評価のステップを挟みます
  4. 本生産・納品 — 数量・納期を確定して生産。短納期や分納のご相談にも応じます

電子部品の加工方法に迷われている段階で、図面なしでもまずご相談ください。フォトエッチング歴27年の代表が、用途・数量・予算からふさわしい加工方法をご提案します。

■ ご相談ください
電子部品の薄板加工で「他社で断られた」「試作の数量が中途半端」「材料調達も含めて任せたい」とお考えなら、お問い合わせフォームからご相談ください。図面段階・スケッチ段階でも結構です。

Contact

まずはお気軽にご相談ください。
試作1個から対応します。

製品・加工に関するご相談、お見積りのご依頼など、お気軽にお問い合わせください。