フォトエッチングで作るフィルター・ストレーナー|織金網・エッチングとの違い

フォトエッチングで作るフィルター・ストレーナー|織金網・エッチングとの違い

フィルターやストレーナーに使う金属メッシュを調達しようとすると、「織金網の規格品でよいのか」「エッチングで作るべきなのか」という工法選定で迷うことが少なくありません。同じ「網」でも、製法によって精度・形状の自由度・初期費用・向いているロット数は大きく異なります。

本記事では、金属メッシュフィルター・ストレーナーの主な製法(フォトエッチング・織金網・パンチング)を比較表で整理し、フォトエッチング製メッシュの強みと向いている用途、織金網との使い分けの考え方までを解説します。

1983年創業・フォトエッチング加工歴27年の代表が、金属メッシュの加工からメッシュインサート成形までを手がけてきた現場の知見をもとにお伝えします。メッシュ番手・目開きの選び方はストレーナー設計の勘所、フォトエッチングの基本原理はフォトエッチングの基礎解説コラムもあわせてご覧ください。

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エッチング製フィルター・ストレーナーの試作や工法のご相談、概算見積りは、お問い合わせフォームまたは下記までお気軽にどうぞ。図面前のラフな相談・試作1個からのご相談も承っています。
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金属メッシュフィルターの主な製法は4つ

流体から異物を取り除くフィルター・ストレーナーの「網」の部分を金属で作る場合、製法は大きく4つに分かれます。まずそれぞれの特徴を押さえておくと、自分の部品にどれが向いているかを判断しやすくなります。

フォトエッチング(ケミカルエッチング)

写真製版技術と化学的な腐食作用を利用して、薄板金属に開口パターンを形成する加工法です。フォトマスク(原版)のデータを変えるだけで開口の形状・配置を自由に設計でき、金型が不要なため試作や多品種少量に向きます。化学的に溶かす加工のため、切り口にバリが出ず、素材にひずみも残りません。ホツレが出ないため粗いメッシュ形状に向いています。工程の詳細はフォトエッチングの技術ページで紹介しています。

織金網(おりかなあみ)

金属線を縦横に織って網にする、最も一般的な製法です。規格化された番手(線の本数)と線径の組み合わせから選ぶため、規格品なら安価で入手性も良好です。一方で、切断した端部から線がほつれやすいこと、立体的な線の交差があるため平坦性が必要な用途には不向きなことが弱点です。

パンチング(プレス打ち抜き)

金型で穴を打ち抜く製法です。量産時の単価は最も下がりやすい一方、金型費がかかるため少量では割高になり、穴径も板厚より小さくすることが難しいという制約があります。比較的粗い開口の大量生産に向いた製法です。

4製法の比較表

項目 フォトエッチング 織金網 電鋳 パンチング
開口の形状自由度 ◎ 丸・長穴・異形も自由 △ 線の織り目で決まる ◎ 微細・均一 ○ 金型次第
初期費用 ○ 原版のみで安価 ◎ 規格品なら不要 △ 母型が必要 △ 金型が必要
少量・試作 ◎ 1個から対応しやすい ○ 規格品の切売り × 金型費が重い
バリ・ほつれ ◎ バリ・ほつれなし △ 端部がほつれやすい ◎ なし △ バリが出やすい
平坦性 ◎ 平板のまま △ 線の交差で凹凸
枠と網の一体化 ◎ 同一板から一体加工可 × 枠は別部品
得意な領域 異形・小ロット・精密 規格品・大面積・低コスト 超微細開口 粗めの開口の量産
織金網とフォトエッチング製メッシュの表面・端部を比較したマクロ写真

このように、「規格品で済むなら織金網」「大量生産ならパンチング」「超微細ならば電鋳」「異形・精密・小ロット・枠一体ならフォトエッチング」というのが大まかな住み分けです。次の章で、フォトエッチング製メッシュの強みをもう一歩具体的に見ていきます。

フォトエッチング製メッシュフィルター5つの強み

1. 金型不要で、試作・多品種に強い

フォトエッチングはフォトマスク(原版)で加工するため、高額な金型が不要です。開口パターンの変更も原版データの修正だけで済むので、「開口率を変えて3パターン試したい」「外形だけ変えた派生品を少量ずつ作りたい」といった開発段階の試行錯誤に向いています。当社では試作1個からのご相談を承っています。

2. バリ・ほつれが出ない

化学的に金属を溶かして開口を作るため、プレスのようなバリ、織金網のような端部のほつれが発生しません。フィルターでは「網の切断端からほつれた線材が流体に混入する」ことが品質トラブルの代表例であり、異物混入を嫌う用途ではエッチングメッシュの大きな利点になります。

3. 板厚0.01mmの極薄から対応できる

当社では板厚0.01mmの極薄箔の加工実績があります。薄い板に微細な開口を高密度に配置できるため、低圧損で微細な捕集が求められるフィルターに適しています。対応材質はSUS304・SUS316などのステンレスをはじめ、銅・真鍮・りん青銅などから選べます(詳細は対応スペック・素材一覧をご覧ください)。

4. 開口も外形も「異形」にできる

織金網の開口は線の織り目で決まる正方形が基本ですが、エッチングなら丸穴・長穴・六角形・スリットなど開口形状を自由に設計できます。さらに外形の抜きも同じ工程でできるため、「網の周囲に取付穴付きの枠を残す」「網と枠を同一板から一体で作る」ことが可能です。枠と網を別部品にして溶接・固定する工程を省け、部品点数の削減につながります。

5. 曲げ・色入れなどの二次加工まで一貫対応

エッチング後の曲げ(円筒状・コーン状への成形)、色入れ、めっき、組立まで一貫してお任せいただけます(一部は協力工場での対応となります)。立体へのエッチングや手作業の多い加工など、他社で断られた内容のご相談もいただいています。樹脂枠との一体化が必要な場合はメッシュインサート成形で対応できるのも当社の特徴です。

円筒状に曲げ加工されたエッチングメッシュ部品のイメージ

エッチングフィルターが使われる主な用途

エッチング製のメッシュフィルター・ストレーナーは、次のような分野で広く使われています(業界一般の用途例です)。

  • 自動車・油圧機器 — オイルストレーナーやバルブ保護用の異物捕集メッシュ。枠一体形状で組付け工数を減らせる点が好まれます
  • 食品・飲料設備 — 異物混入を嫌う工程でのろ過・分級。ほつれが出ないことが採用理由になりやすい分野です
  • 半導体・ガス供給系 — 配管内のパーティクル捕集。平坦で開口が均一なメッシュが求められます
  • 医療・分析機器 — 小型で精密な流路部品への組み込み。微細な開口と清浄性が重視されます
  • ソレノイドバルブ・小型バルブ — 弁体を守る小径ストレーナー。深絞りや枠付きの異形形状が多い領域です

共通するのは、「規格品の織金網を切って使うだけでは形状・品質要求を満たせない」場面でエッチングが選ばれている、という点です。

枠一体型メッシュディスクや円筒ストレーナーなどエッチング製フィルター部品のイメージ

織金網とエッチングメッシュの使い分け

では、実際の部品ではどちらを選べばよいのでしょうか。判断の軸は「形状要求」と「ロット・コスト」の2つです。

織金網サンプルとエッチングメッシュサンプルを手元で見比べて選定するイメージ

織金網が向いているケース

  • 規格品の番手・線径で性能要求を満たせる(比較的安価)
  • 大面積の網が必要(エッチングは最大加工サイズに制約があります)
  • 端部のほつれが問題にならない構造(枠で完全に挟み込む等)

エッチングメッシュが向いているケース

  • 開口形状・配置を自由に設計したい(丸穴・長穴・部分的に開口率を変える等)
  • 枠・取付穴と網を一体で作りたい
  • ほつれ・異物混入を避けたい
  • 平坦性が必要
  • 試作や小ロット多品種で、金型費をかけたくない

コスト面では、規格品で済む条件なら織金網が安く、形状要求が増えるほど(枠一体・異形・ほつれ対策の後工程など)トータルではエッチングが有利になっていきます。境目は形状とロット数によって変わるため、内容にもよりますが、図面や用途をお聞かせいただければ最適な工法からご提案します。番手・目開き・材質の選び方そのものはストレーナー設計の勘所|メッシュ番手と材質の選び方で詳しく解説しています。

ソメヤのエッチングフィルター対応体制

有限会社ソメヤは1983年の創業以来、フォトエッチング加工とメッシュ加工を両輪に、年間100社以上のお客様の薄板加工を手がけてきました。フィルター・ストレーナー分野では次の対応が可能です。

検査ランプの下で極薄エッチングメッシュを検品する手元のイメージ
  • 板厚0.01mmの極薄実績 — 極薄箔への微細開口加工
  • 試作1個から — 個人のお客様からのご依頼も多数
  • 二次加工まで一貫 — 曲げ・色入れ・めっき・組立
  • メッシュの調達から対応金属・樹脂メッシュの加工販売メッシュインサート成形まで社内で完結
  • 短納期 — 材料在庫がある場合で1週間程度が目安。お急ぎの場合はご相談ください

ご相談から納品までの流れ

お問い合わせからご提案・お見積り、試作、量産・納品までの流れを示すフロー図
  1. お問い合わせフォームまたはお電話で。図面がなくても、用途・流体・捕集したい異物の目安をお聞かせいただければ大丈夫です
  2. 仕様のご提案・お見積り — 工法・材質・開口設計をご提案します。お見積りは無料で、翌営業日までに回答します
  3. 試作 — 1個からの試作で性能・組付けをご確認いただけます
  4. 量産・納品 — 試作と同じ工程のまま量産へ移行できます

よくある質問

規格の織金網からの置き換え相談はできますか?

承っています。現在お使いの番手・線径と課題(ほつれ・組付け工数・形状制約など)をお聞かせいただければ、内容にもよりますが、エッチングメッシュへの置き換え可否と概算費用感をご案内します。

開口はどこまで小さくできますか?

板厚との関係で決まり、目安として板厚と同等程度の開口寸法から対応します。板厚が薄いほど微細な開口が可能ですので、詳しくは板厚・材質とあわせてご相談ください。

枠付き・立体形状のストレーナーも作れますか?

枠と網の一体加工、エッチング後の曲げによる円筒・コーン形状などに対応しています。立体へのエッチングのような特殊なご依頼も、内容にもよりますが、まずはご相談ください。

樹脂部品との一体化はできますか?

メッシュを金型にセットして樹脂と一体化するメッシュインサート成形に対応しています。メッシュの加工から成形まで一貫してご依頼いただけます。

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試作1個から対応します。

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